ギターコード

【ハイコードの押さえ方 : 第1回】開放弦を含まないコードを覚えてみよう ~導入編~

これから連載としてハイコード(開放弦を含まないコード)を紹介していこうと思います。

 ハイコード(開放弦を含まないコード)というのは、ひとつ例を挙げると、下図のFメジャーとかですね。

 自分は主にギター弾き語りをやっていますが、ハイコードを覚えて、その使用方法を理解したら、一気にギター弾き語りの世界が広がったように思えました。

その便利さを伝えていけたら、と思います。まずは第1回として、ハイコードを覚えるとどんなメリットがあるのか、について語っていきます。

 実際のコードの押さえ方については第2回以降で紹介していきます。

ハイコード(開放弦を含まないコード)を覚えるメリット

メリット その1 : 押さえ方を1つ覚えるだけで、使えるコードが一気に増える。

これはどういうことかといいますと、

 メジャーコードの”開放弦を含まない”押さえ方を一つ覚えられれば、あらゆるメジャーコードが一気に弾けるようになる

ということです。今回はバレーコードのFメジャーを例に説明します。

 ここで、2つのことに着目してもらいたいです。それは“コードを押さえる形”“ルート”です。

 まず、人差し指で6弦すべてセーハしながら3~5弦を押さえる、この“コードを押さえる形”=”メジャーコードの形”と思ってください。

 次に、ルートですが、6弦1フレットなので“ルート”=”F(ファ)”になっています。

 つまり、“メジャーコードの形”で”ルート : F”を弾いているからFメジャーコードになるわけです。

 では、このまま“コードを押さえる形”を変えずにルートをA(ラ)にしてみましょう。A(ラ)は6弦5フレットですね。”コードを押さえる形”は変えずにそのままスライドしていきます。

 すると、Aメジャーコードになるのです!
 “メジャーコードの形”“ルート : A”を弾いているからAメジャーコードになるわけですね。

 同じ要領で、ルートをBにすれば Bメジャーコードになりますし、ルートをC#にすればC#メジャーコードになるわけです。

 音は全部で12種類あるので、メジャーコードの”開放弦を含まない”押さえ方を1つ覚えられれば、12種類のメジャーコードが一気に弾けるようになります。なんとコスパのよいことか…。

 もちろん、メジャーコード以外でも同じことが言えます。マイナーコードの”開放弦を含まない”押さえ方を覚えれば、あらゆるマイナーコードを一気に弾けるようになるのです!

 同様にマイナーコードの形”“ルート : A”を弾けばAマイナーコードになるわけですね。本連載では、さまざまなコードの形を紹介していくので、コードのレパートリーを増やすことができると思います。

 

 逆に、(開放弦を含む)オープンコードはそのままスライドすると別のコードになってしまうので、上記の法則は使えません。

 例えば、オープンコードGの形をそのままスライドして、ルートをBにしても、Bメジャーコードになりません。

メリット その2 : カポを使わなくても、あらゆるキーで演奏できる。(転調にも対応できる)

 これはメリットその1の補足的な内容ではありますが、”開放弦を含まない”押さえ方を覚えられれば、
 ・♭や#のついたコードも弾けるようになる
 ・カポを使わなくても、あらゆるキーで演奏できる。
 ・曲中での転調にも対応できる
といったメリットがあります。 

 例えば、A♭ → B♭ → E♭ (Key : E♭)というコード進行を弾きたいとします。

 オープンコードを覚えたばかりの頃に、♭とか#がついたコードを見ると「どう押さえればいいのか分からない…。」ということになりますよね。

 そこで大抵の場合は、カポタストを使用します。カポタストを1フレットに装着することで、 G → A → D という基本的なオープンコードで演奏することができます。

 ただ、カポタストを使用しないで A♭ → B♭ → E♭を弾こうと思った場合、先ほどの考え方を利用すればいいのです。

 例えば、A♭ を弾こうと思った場合は、先ほどの“メジャーコードの形”“ルート : A♭”を弾けばいい。A♭は6弦4フレットですね。B♭は6弦6フレット、 E♭は6弦11フレットです。
 こうすることでカポタストを使わずに、”一応” A♭ → B♭ → E♭を弾くことができます。(この例だと、E♭はハイポジションすぎて弾きづらいかと思いますが…より実践的な押さえ方については第2回で。)

 要は、“ハイコードの押さえ方”“ルート音の場所”の2つさえ理解していれば、カポタストがなくても♭や#のついたコードが弾けるよってことです。

 そして、♭や#のついたコードをパッと弾けるようになれば、カポタストが無くても あらゆるキーで演奏することができるようになります。
(※とはいえ、実際はカポを使って演奏しやすいキーにした方がいいです。”カポを使わなくても演奏できる”という引き出しを増やすことがとても重要)

 さらに、カポタストなしであらゆるキーを演奏できるようになれば、曲中での転調(キー変更)にも対応することができるようになります。

 例えば、曲中でKey = C → Key = D♭ に転調した場合、転調後では♭系のコード(D♭, E♭mとか)がたくさん登場してくるようになります。こういったときにも即対応できるわけです。

メリット その3 : 1つのコードをあらゆるポジションで演奏できるようになる。

 例えば、「あなたの知っているCメジャーコードの押さえ方を全種類 教えてください」と言われたら、どのくらいの数を答えられるでしょうか。

 Cメジャーコードと一口に言っても、ローポジションで弾くものもあれば、ハイポジションで弾くものもあります。下図には6種類を記載しましたが、探せば他にもたくさん見つかるでしょう。

 本連載では、6弦ルート/5弦ルート/4弦ルートの3つの場合に分けて、ハイコードの押さえ方を紹介していきます。

 なので、ここで紹介するコードの押さえ方をマスターできれば、自ずと1つのコードをあらゆるポジションで演奏できるようになります。

 要は、Cメジャーコードを弾こうと思ったときに、その選択肢が増えるわけです。その中から、演奏曲に合った、そして自分好みの響きが出るCメジャーコードを選んであげれば、より一層 表現の幅が広がるかと思います。

とりあえずコードを弾いてみよう

 ここまでハイコード(開放弦を含まないコード)の便利さについて、長々と語ってきました。少しでもメリットが伝わっていればいいな、と思います。

 第2回以降からコードの押さえ方を紹介していきますので、とりあえずコード弾きにどんどんチャレンジしていきましょう。

 最初は、理屈とか難しいことは考えずに、”コードの形”で覚えていけばいいと思います。そして、自分の好きな曲を演奏する際に、覚えた”コードの形”をちょっとずつ使ってみる。まずは実践あるのみ、です。

 実際に、ハイコードを自然に使いこなせるようになれば、ギター演奏の表現の幅が広がったことが実感できるかと思います。ギター弾き語りもどんどん楽しくなってくるはずです。

 では、第2回ではメジャーコードの”開放弦を含まない”押さえ方について紹介いきます!